部下が本気で悔しがるようになった

「いいな」と思われたら押してください。

　組革研にリーダー参加して思い知らされたのは、部下に失敗させないことばかり考え、問題に直面させようとしていなかったことです。
　職場に戻り、材料を切断するラインの交換工事を部下に任せてみることにしました。設備を複数のメーカーに発注し、メーカー間でのきめ細やかな調整が必要となる仕事でした。部下にはそのことを良く伝えて計画を立てさせ、工事が始まってもできるだけ口出しをしないようにしました。
　あと数日で完工というときに試運転を見に行くと、ラインのあちこちでトラブルが発生し全く稼働できません。部下は「少し遅れているが問題ない」というメーカーの言葉をそのまま信じていました。私も状況をよく見ておらず、部下に任せているつもりがすっかり放任になっていたのです。
　納期を遅らせて何とか稼働はしたものの、１日１００本以上切断するという目標には届きません。メーカーは技術者が来ない日もあるなど問題意識が薄く、部下からも「期日までの目標達成は無理です」と弱音が出てしまいました。しかし私は「絶対に達成させる」と宣言して、部下とともにメーカーとの折衝に臨みました。
　メーカーとの話はできるだけ部下に任せて、私は口を出さないようにしていました。折衝を通じてしだいに彼の真剣味が増してきて、それがメーカーを動かし、様々な改良がすすめられました。彼はさらに目標本数へのこだわりを見せるようになり、作業者と一緒になって様々な手を打ち、トラブルがあったときには本気で悔しがる姿が印象的でした。
　当初の予定からは遅れてしまいましたが、何とか目標本数を達成できました。組革研でのリーダー体験がなければ部下とまともに向き合うこともなく、自分が動いて指示を出し、成長の機会を奪っていただろうと思います。