数値だけではわからない

「いいな」と思われたら押してください。

　アルミニウム加工品の材料となる合金を鋳造して加工までを行う部署にいます。
　加工品の表面が粗くなるという不良が発生し、分析を専門チームに依頼しました。分析結果の数値に異常があり、過去に似たような異常値が出たときの経験をもとに鋳造過程で調整を行うと、数値は正常に戻りました。
　ところが、再度加工してみると同じ不良が発生してしまったのです。私はどうすればよいかわからなくなってしまいました。
　そんなときに参加した組革研では、何度も調査をくり返し、現地現物でとことん対象を明らかにするということを体験しました。不良の原因を探るのに分析結果の数値だけを見ていた自分を思い出し、現物から確認していなかったことを恥ずかしく感じました。
　組革研から戻り、さっそく分析のもとになった合金の顕微鏡写真を見せてもらいました。すると驚いたことに、数値上では違いがないのに結晶の形状が異なっているものがあったのです。「不良はどうなっているか」の一端をようやく摑めたと思いました。
　それまで加工後の表面不良としてひと括りにしていたものを、材料の断面をつぶさに観察し、結晶形状の違いによって分類し直しました。そこから原因についての仮説を立て、現在は鋳造過程での調整を試し続けているところです。
　今回の経験から現地現物の大切さを身に染みて感じ、打ち合わせの際には、写真やサンプルも必ず持参するようになりました。すると、自分だけでは気がつかなかったことを周りから指摘してもらえることもあり、新たな発見につながっています。