彼と本気で向き合います

「いいな」と思われたら押してください。

　１年前の「デイリーメール」で二つのことを報告しました。 一つは、部下に細かな指示を止め質問して考えさせるようにしたら若手の部下に自ら動く変化が現れたこと。もう一つは、指示してもらうのが当たり前になっているベテラン部下に頭を悩ませていることです。彼は私の先輩で、１０年以上前にリーダーになっていてもおかしくない人でした。
　その後、彼にとっては初めてであるプロジェクトリーダーを任せることになりました。適任の部下たちが次々と異動して、彼しか適当な経験者がいなかったからです。彼にリーダーの話をすると「本社は力を入れているの？」などと逃げ腰なので、私は事業部の重要なプロジェクトだと強く言い聞かせました。彼の返事は渋々の「わかりました」でした。
　不安がよぎりました。プロジェクトは私が統括していくので、彼が部下であることに変わりはありませんが、私は本社に異動する予定でしたので月に数度しか会うことができないからです。
　ある日、彼のプレゼンテーションに同行した他部門のメンバーから「彼の提案は形だけで、お客様の心を動かすことはできない」と聞かされたのです。そこで彼と面談したところ、「お客様が興味を示さないから…」との一点張りです。
　それから「デイリーメール」を参考にして、彼の意識を変える道筋を模索しました。考えあぐねた末、自分はこれまで彼と本気で向き合ってきたのか、という思いに至ったのでした。彼は先輩というだけではなく、私が入社した時の教育担当者です。意職していないと思いながら実は気を使っていて、言わねばならないことを言えなかったのではないか。この私の弱さと闘わずして、彼を動かす方法をいくら考えても何も変わらない。
　近々彼に会います。そして本気で彼と向き合います。