指示出し魔に戻っていた

「いいな」と思われたら押してください。

　部下を思いどおりに動かそうとしてしまう、そんな私の存在が彼らの仕事の邪魔をしていると気づいた「組革研」。それから余計な口出しをしないように意識して１年半、彼からの提案も増えて職場の雰囲気が変わり始めてきたことに、手応えを感じていました。
　ところが、4名いた部下のうち２名が退職することになってしまった。メンバーが減り、他部署から対応が遅くなったと立て続けに厳しいクレームを受け、私は焦って何をやっても空回り、課内は暗く沈んでいきました。
　見かねた上司が、信頼できそうなスタッフを他部署からスカウトしてくれました。ここはその彼の実力を見込んで、「やって欲しいことはこれだ、自分で考えてすすめて欲しい」と、祈るような気持ちで任せることにしたのです。すると、畑違いの部署だったにもかかわらず、これまでの難課題をクリアし、新しいことにもチャレンジし始めました。減っていた部下同士の会話も増え、みんな生き生きとした表情へ変わっていったのです。
　その様子を見ていてハッと気付きしました。残っていた２人の部下に、「これは俺がやるから次はあれをすすめて、前と同じ流れで」など、以前のように細ごまと指示を出している自分がいたのです。他部署から風当たりが厳しくなったせいで、指示出し魔の自分に逆戻りしてしまっていたのです。せっかく2人が、自ら動くように変わってきたところだったのに、余計な口出しで台無しにしていたんだと、猛省しました。
　現在、私の部署では、働き方改革やコロナ禍で変わる採用活動など、従来の手法や考え方では立ち行かない課題が山積みです。部下たちには、今までのやり方にこだわらないことを強く求めながら、私もまた、部下の邪魔をする以前の自分に逆戻りしないよう、一からやり直します。