一呼吸、ぐっとこらえて

「いいな」と思われたら押してください。

　 一度教えたことやマニュアルに書いてあることもすぐに聞いてくる、私もそれに応えることに何の疑問もありませんでした。
　ショッピングセンターの運営会社で、販促企画業務を担当して６年。自分が悩んだり困ったりした経験をメモやマニュアルに残し、部下が同じ失敗をしないように指示してきました。自分がやってきた方法を丁寧に説明し、同じようにできること、それが部下への教育だと思っていたのです。
　「組革研」を体験し、善かれと思ってやってきたことが、一つも部下のためになっていなかった事に気づかされました。それからは、部下からの質問に安易に答えることを止めました。相談があれば、どのように考えて、調べているのか、取り組み過程の聞き役にまわることを意識したのです。
　実際、部下に任せていた情報発信業務を行う際、私から動くことを止めてみました。すると、指示をしなくても問題なく業務をこなせていたのです。勝手に心配して余計な世話焼き。失敗しないように先回りしていたことこそが、部下の成長を邪魔していたのです。
　ショッピングセンターは、コロナウィルス感染症の影響で、かつてない厳しい状況に置かれています。刻々と変わる課題と向き合うには、一人ひとりが、自分から考えて行動することが必要です。
　この状況のなか、私がするべき事は何か。まずは指示出し体質の自分が変わり、部下の指示待ち意識を変えることです。
　とはいえ、部下と顔を合わせて会話をする機会も減り、短いコミュニケーションのなかで、先走って細かい指示を出してしまいそうになることもしょっちゅうです。そんなときは一呼吸、話をする前、指示をする前にひと息ついて、手出し口出しをぐっとこらえます。