無茶なお願いを他の人に頼むことなんてできない

「いいな」と思われたら押してください。

　「組革研」参加後しばらくして、一つの案件を任されました。決められた納期までに試作品を納めなければいけません。上司からも、ちょっと難しいと前置きしながら渡された課題です。
　簡単にいかないことは覚悟していました。ところがその途上、トラブルが起きてしまったのです。このままでは絶対に納期には間に合いません。どうしたらいいのか、パニックに陥りました。でもやるしかない。
　自分の気をいったん落ち着かせ、どうしたら間に合うかから考え始めました。すると浮かんできたのは、なぜ納期がそのように設定されているのかという疑問です。すぐにこの課題の全体の流れを確かめました。
　と言っても、何かを見ればわかるというものではありません。上司や先輩を掴まえて、一つひとつの項目や予定された期日を聞き取っていきました。
まず、配送に１週間に１度の定期便を予定していたと知り、翌日に届く宅配便に切り替えました。続いて、タイヤに打刻する金型作成が１か月かかるとわかり、少しでも前倒しするにはどうしたらよいかを相談して期間を詰めてもらいました。それ以外にも、他の人の案件がすでに予定されていて、無理やり順番を替えていただいたものもあります。
　相手にとっては無茶としか思えないお願い、しかも頼んでいるのは新人の私です。自分がされたら嫌なことの交渉を、他の人に頼むことなんてできません。メールだけでなく電話し、会いに行けるなら会って、担当しているご本人にお願いしました。
　嫌な顔をされながらもみなさん調整してくださり、何とか納期に間に合いました。中には大変だなぁと声を掛けてくださった方もいます。その時の繋がりは今も生きていて、名前も顔も覚えられました。（明日に続く）