何か言ったところで、どうせ何も変わらない

「いいな」と思われたら押してください。

　「動きが遅いなぁ」。４年まえに赴任し、職場で動きはじめるとすぐに感じたのが、部下たちの受け身で他人任せな姿、自ら動こうという雰囲気が感じられないことでした。
　「君ならどうする？」。あるメンバーに尋ねてみると、返ってくるのは自身の案ではなく「リーダーから言われたとおりにやります」の返事、別の人に新たな仕事を頼もうとすると、「やったことがないので無理です」と言われてしまいました。
　私たちの仕事で最も大事なのは、商品を倉庫内に無駄なく配置し、いかに効率よく移動し出荷するかです。倉庫管理のコンピューターシステムはありますがそれを眺めているだけではダメ、製造状況を常に把握する必要があり、工場の担当者と密に連絡を取り合っておかねばなりません。でもそれが全くできていないのです。
　そんな状態を変え、もっと自発的な職場にするのが私の役目です。ミーティングのたび、「もっと積極的に動け！」をくり返していました。
　彼らに問題を自分事として捉えてもらおうと、あるミーティングで、「職場を良くするためにどうすればいいと思う？」とメンバーたちに尋ねました。しかし数秒後に返ってきた言葉に衝撃を受けました。「自分たちが何か言ったところで、どうせ何も変わらないじゃないですか。僕らの意見を取り入れてくれるんですか」。
　突き刺さりました。受け身である彼らを自分に都合よく利用していただけだったと気づきました。目のまえの業務を片付けるために「こうしろ」を連発し、自分のスペアのように彼らを動かしていたのです。
　それから数か月後、「組革研」への参加が決まりました。（明日に続く）