どんなことが現場で起きているか、困っているか

「いいな」と思われたら押してください。

　 取り組んできた開発テーマは全ての課題をクリアし承認されました。 ７人いたメンバーの多くは異動し、現在は３人です。 しかし私には開発テーマとは別に、解決できていない問題がありました。
　 それは開発テーマが終了するまで、一人のメンバーが全く動かない状態をどうにもできなかったことでした。
　 今でも一緒に取り組んでいる彼は、課題を与えられると必ず立ち止まります。 考え始めていると思って様子を見るのですが、結局しばらく経っても動き出さない。 そんな彼を見ても、組革研ＯＢの上司の強い方針で、私の職場では周囲はあっさりと彼に口出し、手を貸すことはありません。
　 ところが最後まで何もすすまない。 とうとう放置できなくなって、最後には彼の課題を誰かがやらざるを得なくなってしまう。 開発の終盤にさしかかると、私自身もそれに目を瞑ってしまいました。
　 開発テーマが一段落した頃に出したインクのある評価方法を設定する課題についても同じでした。 いくら待っても一向にすすむ気配がありません。
　 私は決意し、彼を連れ出して印刷会社に向かいました。 そして、インクの状態によってどんなことが印刷現場で起きているか、困っているかを、直接見聞きさせました。
　 ２度行った頃から、彼の様子が変わってきました。 自分がやらなければいけないという姿勢が突如、現れてきたのです。 かつては自らの考えの浅さを指摘されるとすぐ撤回し、あっさり他の言うとおり動いていましたが、今ではデータを持ち出して反論され、議論が終わらないこともしばしばです。
　 変化はとても嬉しいのですが、苦い思いもあります。 それは現場に連れ出した時のように、それまで本気で彼に向き合えなかった自分に対してです。