任せて良かったと心から思えた

「いいな」と思われたら押してください。

　 医薬品原薬を製造している私の職場で、組革研後しばらくした頃、精製カラムのパッキングが設定基準の目標数値に届かないというトラブルが起こりました。 これまでの私なら、自分が思いつく対策を次つぎと部下に指示して彼らを動かしていました。 しかし今回はすぐ、担当者に任せなければが自然と頭に浮かんできました。
　 もちろん、彼は一から全てに取り組んだ経験はありません。 どうなっているかをまず自分で見て調べ、わからないことがあれば自分で勉強して、対策を考え実行しました。 一回では良い結果には結びつかず、何度もやり直してようやく目標値を超えることができました。
　 その時の本人の喜んだ顔を見て、任せて良かったと心から思えました。 時間としては私が指示して解決したほうが早かったかもしれません。 しかし、自ら考えた対策がうまくいかず、また悩んでを何度もくり返してようやく達成できたのです。 その途上で味わったさまざまな思いは、かかった時間とは比べられないものを彼にもたらしたと確信できました。
　 そしてその感動を私はこれまで奪ってきたことに考えが至って、改めて指示出しや教えることの怖さを思い知りました。
　 医薬品製造にはＧＭＰという品質管理基準が厳然とあり、トラブルへの対応だけでなく、仕様が変更される際にも細かく指示して目標値を達成することを、この職場では厳しく求め続けてきました。
　 その中で続けてきた私自身も指示待ちだったと組革研で痛感しました。 自分だけでなく部下たちにも指示待ちからの脱出を求めていかなければいけません。 しかし毎日の定常業務の忙しさに追われて、この時以降は続けられていない。 いまだに自分自身の意識の中に止まってしまっています。