参加リポート/現場から

あれこれ細かに指示するのを止めた

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矢口 昌  住友ゴム工業 白河工場 製造R&D部 課長代理  〔第514回/2018年9月会期参加〕  NO.1431

1431yaguchiHP.jpg  職場では原因がわからない多くの不良品が発生し続けていました。 これらに対する案を部下に求めても意見が出ず、確認すべき項目や次の打ち手を細かく指示しました。 それでも良い結果には繋がりませんでした。
  この工法は特別で複雑、彼らだけで考えて工程を任せるには難しすぎる、そう思っていました。 私自身が考え、このとおりにやれば不良は無くなるという明確な手順を作る、それが私の役割だと考えてすすめてきました。
  その時に困ったのは手が回り切らないこと。 自分と同じように考え、同じことができる人を作ろうと、部下に細かく私の考えや手順を伝えてきました。 でも伝わらない。 どうして同じようにできないのかと悩んでいました。
  しかし、それが間違いだったと組革研で気づきました。
  職場に戻りまずは、部下に細かに指示すること、あれこれ世話をやくことを止めました。 代わりに発生した不良を 「対象」と捉えて、メンバー全員でわからないことを洗い出し、問題に繋がりそうな項目について仮説を立て、それらを検証していくアプローチを提案しました。
  次第にメンバーたちは、朝の会議で前日の仮説に対する検証結果やその日に取り組む仮説を発表したり他部署への状況の伝えかたを変えたりと、自分たちで考えて動き始めていきました。 そしてあるメンバーは、それまで私には思いつかなかった視点でいくつかの仮説を出し、さらに自分自身で検証していきました。
  1か月後、ようやく不良が収束しました。
  この間、私が意識したのは 「やらずに済ませることだけは許さない」ことです。 しかし、実際には彼らは自分たちでどんどん動いていきました。 その姿を目の当たりにして、「やらないを許さない」を意識する以前に、その力を抑え込んでいた私自身の有り様を真剣に考え直さなければと痛感しました。

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