「対象」を明らかにすることの重要さ、そして仕事は自分に都合よくできていないという仕事観。 組革研で最も心に残った二つです。
職場で車両の振動性能の開発を担当している私は、最近、振動に関するお客様からのクレーム案件に携わる機会が増えてきました。
組革研から戻った直後、ドイツ市場でクレームが発生し、この問題を解決するため現地に出発することになりました。
お客様が不満に思っている振動現象とはいったい何なのか、徹底的に明らかにする意気込みで仕組み解明に向き合いました。
しかしこれという原因が究明できません。 帰国予定も近づいてきます。 私は上司に頼み込んで滞在日数を延長し、さらに調査を続けました。
すると、とうとう指摘されていた振動のからくりに気がつきました。 それは個々の部品によるものではなく、複数が相互に作用し合ったことによって起きた現象だったのです。 開発時点では認識できませんでした。
帰国後、過去のお客様からのクレームを再発させないため、振動を起こさない部品構造の改良と開発時の見逃しを防ぐための車両テストの改善を提案し了承され、いま私自身でこの課題に取り組んでいます。
性能目標の設定に取り組む中、これまで他の性能との兼ね合いや妥協、現状の技術が届く範囲内という条件に流されてしまうことがなかったか。 それらは全て作り手側の都合です。 お客様という 「対象」をもっと研究する努力が自分には足りなかったと感じています。
膨大な業務が予想され、蜂の巣に手を突っ込むような心地です。 しかし、お客様に自信を持って商品をお届けするためには踏ん張るしかありません。 仕事は自分に都合よくできていないと言い聞かせながらすすめています。
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