絶対にやり切らせようと、最後の決断を任せた

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　 私が所属していた部署では、設備の企画、設計、施工という案件のほとんどにプロジェクトチームを作ってその課題に取り組んでいました。 しかし、老朽更新や新規設備の設置などの業務が急激に増え、担当する人員の確保に苦慮していました。
　 特にプロジェクトの責任者には技術的な知識だけではなく、他部門への交渉力やチームを一つにまとめていくことが求められるため、その人選には大いに悩みました。
　 考え悩んだ挙句、若手の育成にもつながるチャンスと考え、経験の少ない若い部下を責任者に登用することを決心しました。
　 任命された本人も大いに戸惑ったようです。 実際にプロジェクトがスタートすると、さまざまな相談を何度も受けました。 しかし余計な手出し、口出しが部下の力を奪ってしまうことを組革研で体験していた私は、事実データや起こった状況を指摘する以外は自分の意見を控え、彼自身の仕事として絶対に彼にやり切らせようと、最後の決断は彼に任せると伝えました。
　 いざ工事が始まってみると小さなトラブルが散発しました。 そのつど彼は対応に追われていましたが、自分で現場に足を運び、関係者とデータを元にした議論で何度もやり合ううちに、彼らとの一体感が生まれていったようです。 その後、プロジェクトは極めて順調にすすみ、安全、納期、品質のどれもが申し分の無い成果を上げたのです。
　 重い責任を与えられた中で、自ら考え、苦悩せざるを得ない状況が、部下の力を発揮させ、成長させていくのだと実感しました。 彼が事実から離れてすすめていないか、部下に指示をするだけのリーダーになっていないかを見ていくことが、自分の重要な役割だと感じました。