実際の場面を見て考えさせることが一番大事だと思った

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　浦佐駅に所属する１２名の部下のうち５０歳台は８名を占めています。世代交代が求められ、数年前から新入社員が配属されはじめましたが、現在、彼らの育成と技術継承が、この駅の大きな課題となっています。
　知識も経験も豊富なベテラン社員が、さまざまなケースでの対応のしかたや各種切符の取扱いかたを若手社員に教えていましたが、その内容を知識として覚えても、実際の場面では対応できなかったり、焦って間違ってしまうことがたびたびありました。支社で実施される駅運転取扱いや異常時対応などの研修にも参加させましたが、目に見える効果にはつながっていないように見受けられました。
　私は５年まえに組革研に参加しましたが、そこでうかがった「人を人としての人間観」が、今も心に残っています。そして彼らは絶対にできるはず、今できていないのは上司である私の問題だと思い、悩みました。そして考えた末に、さまざまな場面を見て考えさせることが彼らにとっては一番大事だと思い、現場に出る場面を増やしました。
　そして、ベテランの技術を学ぶ「対象」の一つとして彼らの対応に立ち会わせ、また、日々のお客さまの言動からわからなかったことを挙げて、横どうしで教え合うようにしました。
　業務上、マニュアルや絶対に守らねばならないルールは厳然として存在しますが、「なぜそういう仕組みになっているのか」という成り立ちを理解するためにも、現場で知っていくことが最も効果的だと思っています。
　次第に彼らの間違いは減ってきました。しかし技術の向上は彼らだけの課題ではありません。今後もお客さまの安全を守り続けられるよう、駅員全員が、自らの技術を伸ばし続けなければならないと思っています。