任せるなら、余計な口出しはしないと決めた

「いいな」と思われたら押してください。

　採用担当の私のもとに、昨年、若手社員が１名配属されました。まず面接の日程調整を担当させましたが、彼女が手間取っていたこともあり、私の経験則からあれこれアドバイスしていました。また、学生への会社説明会の司会も任せてみましたが、なかなかうまくいきません。思うように動かない彼女にいらだちを感じ、口出しの回数も増える状況でした。
　その後、新たな試みとして学生との懇談会が企画されました。彼女に担当させるのはまだ難しいだろうと思っていると、「自分にやらせてください！」と言ってきたのです。驚くとともに「大丈夫か？」と疑いもしました。
　しかし様子を見ていると、協力してもらう社員との事前打合せから当日の資料作成にいたるまで、日々苦労しながらも一人ですすめています。
　この時、自分がいかに独りよがりであったかに気づかされました。そして組革研で、売上げが獲得できなくても時間切れ寸前までゴール目指して夢中で走っていた自分を思い出したのです。彼女もおそらく、うまくいかない状況を挽回しようと必死で頑張り、その結果彼女自身の「人間力」が発揮されたのだと思います。そしてその力を、今まで私は抑えてしまっていました。
　任せるなら余計な口出しはしないと決めました。
　それ以降、今までは相談されるまえに先回りして細かく確かめていたところを、彼女が言ってくるまで待つようにしました。また、不備が見つかると、必ずその状況を彼女自身に調べさせた上で対策を考えさせました。
　その後、彼女の考えたプランには、私が思いつかなかったアイデアも盛り込まれ、当日の懇談会は好評のうちに終わりました。
　今の私はまだ、思わず口出しをしてしまいます。しかし今回は、そんな自分に気づくたびに、ダメだと言い聞かせてくれる良い体験になりました。