具体的なデータでの確認を怠っていた

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　タイヤはその見た目が同じようでも、仕様によって使われている部材や原料の組合せや量が異なります。かれこれ丸４年担当しているタイヤ設計システム業務にもようやく慣れてきた私は、最近ではユーザーの要望を聞くと、おおよそのシステム仕様を頭の中で思い浮かべられるようになりました。
　先日、タイヤの設計情報を利用したシステムを開発することになり、担当者の一人としてそのシステム設計に加わりました。
　まず検討の元となる資料を私が作成し、ユーザーとの打ち合わせを経て仕様が固められ、開発段階に入りました。ところがデータがある程度できた段階で、自分たちの目指しているアウトプットがユーザーの要望とは違うのではないかと、他の担当者から指摘されたのです。
　改めてユーザーに確かめたところ、やはりその意図とは異なっていることが判明しました。私が作成したイメージ資料で打合せ、合意を得られたつもりでしたが、その資料に対しての認識が双方で食い違っていたのです。
　あれほど組革研で痛い目を見て、参加後は「現地・現物」にこだわっていたはずなのに、その確認を怠っていたことに気づきました。本来なら、試験的にでも具体的なデータを作成したうえで確認すべきでしたが、抽象化した資料だけで認識合わせをし、要望をわかったつもりになっていたのです。
　すぐにプログラム修正が必要となり、これまで作成していたデータも全て無駄になりました。さらに今回の手戻りによって、予定されていた納期も守れなくなってしまったのです。
　上司に今回の件を報告すると、「組革研から戻った頃は、紙と鉛筆を持って実データと向き合っていたじゃないか」と言われました。自分が易きに流れてしまったことを悔しく思いました。