部下には対応できないと決めつけていた

「いいな」と思われたら押してください。

　私は現在、蒸気タービン技術研修センターの運営に携わっています。この設備の見学に来られるお客様も多く、研修業務の他、見学案内も重要な業務となっています。海外から見える方もいらっしゃいますが、スタッフはほとんど英語を話せないため、私が自ら案内を買って出ていました。
　部下が英語での対応ができないと私が勝手に決めつけ、彼らを課題に直面させていなかったことに、組革研参加後に気づかされました。研修生のうち７割は海外の方がたです。スタッフにとっては、その方がたへのサポートは重要な仕事の一つなのです。
　ある日、彼らを前にし、「来月から英語での見学案内を君たちに任せる」と伝えました。一瞬の間があり、次にできるわけがないという声も上がりました。それを聞いた私は、「話せないならジェスチャーででもいい。それを恥ずかしいと思うなら、当日までに勉強しろ」と伝えました。今まで私の補助として随行していた彼らにとっては結局他人事のまま、自分がその役を担当するとは思っていなかったのです。彼らの顔つきが変わりました。
　その後、彼らは英語の案内資料を解読し、リハーサルをし、自分の問題として正面から取り組みはじめました。人によってはかなり苦戦している様子も見えます。案内当日、彼らの緊張が伝わってきました。
　見学の冒頭で説明するのは２５ページを超えるパワーポイントです。確かにたどたどしかったのですが、ひと通り英語での案内をやってのけました。その後、回を重ねていくと、「お客様の英語の質問にもきちんと英語で答えたい」と言うスタッフも現れました。
　次の目標は見学対応だけではなく英語で研修対応ができること、と伝えました。しかし、できるわけがないという雰囲気は、もう彼らにはありません。