対応する自分にとって都合よく考えていた

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　私は新商品の安定した量産に必要な技術や設備を開発しています。試作段階で不具合が生じると、その原因を調べ、関連部署とともに対策を考えるなど、現場の方がたが動きやすい環境をつくるのが私の主な仕事です。
　組革研では「こま図」の仕組みを一部発見してわかった気になっていましたが、下期で迷ってしまいました。まだ検証できていない自分の仮説を信じ込み、１時間半ちかくを無駄にしたのです。ゴールできなかったことはとても悔しかったのですが、かえってこの体験が胸に深く残りました。
　職場に戻ると、さっそく、それまで解決できていなかったトラブルに取り組むことを決意しました。そしてまずは「わからないこと」を２００件書き出し、その実態を捉えようとしたのです。
　組革研まえはわからないことすらわからない状態でしたが、今回、自分が対応することを考えずに「対象」だけを意識しようとすると、現場の人が使う工具の違いやその使用条件など、以前には思いつかなかった疑問が次々と浮かび、わずか２時間半で書き出すことができました。これまでの私は、自分が関わっている製造工程のことばかりに気をとられ、対応する自分にとって都合よく考えていたことに気づきました。
　このトラブルの原因は未だつかみ切れてはいません。しかし事前に自分が予想したものでなかったことだけはわかりました。過去の知識の枠内だけで考えたり対応を意識して問題を決めつけず、もの事をありのままに見ていくことこそが、適切な対策への近道だと改めて思い知りました。
　いくつもの工場に勤務してモノづくりを学び、「自分は現場をわかっている」と思っていましたが、まだまだ知らないことだらけです。これからも「対象」をくり返し意識し、事実を捉えていきたいと思っています。