自分が見えている世界を押しつけていた

「いいな」と思われたら押してください。

　組革研のキャンパスに到着してすぐ、「対象（Ｓ－２０）はどうできているか」という課題が出されました。講習会を受けるつもりで参加した私は、思わくが大きく外れたことに気づきました。しかし気を取り直して取り組もうとしても肝心な課題を理解できず、またリーダーからの指示もありません。何がどうなっているのかさっぱりわからず、出会ったばかりの仲間に迷惑をかけてしまうことばかり強く意識し、落ち込みました。
　その後も「Ｓ－２０」の仕組みを捉えるため、「対象」を明らかにする課題に取り組み続けました。くり返し現場に行って調べ、徐々に仕組みが明らかになっていく体験を通じて、これまで私がいかに固定観念に囚われ、見たい世界しか見ようとしていなかったかがわかってきました。のみならず、職場の同僚や子どもたちに自分が見えている世界を正しいものとして押しつけていたのです。キャンパスリーダーのお話をうかがい、「もしかしたら自分は間違っていたのかもしれない」という恐れを抱きました。
　そしてこの体験を生かし、職場でも「誰のためにこの仕事に取り組んでいるのか」「その『対象』のために本当にできているか」を常に意識して、仕事や家庭でも取り組んでいきたいと強く決意しました。
　私が学んだことは、おそらくマニュアルや教科書で読んでも、なかなか理解しにくいものだと思います。いつもより圧縮された組革研の時間の中で、課題や目標を自らが立て、それと闘っていく過程で真の当事者意識が生まれ、心の奥底からやりきろうとする気持ちが湧いてきました。そして全て自分たちで悩んで乗り越えたからこそ、多くの達成感を味わえたのです。そのおかげでメンバーどうしの絆が生まれました。数日前には初対面だったチームメンバーが、何年も一緒に過ごした同僚のように感じました。