メンバーを主役に

「いいな」と思われたら押してください。

　私はＣＡＥ解析を中心とした強度信頼性の机上開発のチームリーダーを任され、その中で３つのサブチームを統括しています。サブチームのリーダーの一人は非常に経験豊富で技術力が高いため、部下はみな彼に頼り、問題が発生するたび彼の描く解決シナリオどおりに対応をすることがあたり前でした。次第に彼らは伸び悩みを周りから指摘されるようになり、「責任感が足りない」とも見られていました。
　しかしその後に参加した組革研で、彼らが伸び悩んでいるのは我われリーダーが彼らを問題に直面させなかったから、責任感が足りないと映っていたのも、彼らにそれを発揮させる場面を与えていなかったからだと気づかされたのです。「今のチーム内組織を変えよう」「メンバーが主役となる組織を作ろう」と決意して職場に戻りました。
　組革研後の４月に組織変更を行い、この領域の未経験者をサブチームのリーダーにしました。また、メンバーの２名をサブリーダーとしたうえで、この３人に、「今後はあなたたち自身で開発をすすめてほしい」と訴えました。責任感からか、彼らの表情はとても引き締まっていました。
　それから２か月、このプロジェクトの実機試験が始まり、彼ら自身がＣＡＥ解析でＯＫと判断したにもかかわらず試験をパスしないという問題に彼らが徐々に直面しつつあります。サブリーダーの一人は本日出張で不在でしたが、心配のあまり他のメンバーにその様子を問い合わせてきました。こんなにも状況は人を変えるのか、いや、彼らの”責任感”を表から見えないようにしていたのは上司である我われであったのだと痛感しました。
　今後も彼らはたくさんの問題に直面していきます。彼らが主役となって問題解決していくことで、さらに大きく成長してくれると信じています。