上司が迫ることで職場の空気が変わる

「いいな」と思われたら押してください。

　１年まえ、壜詰めラインの稼働率は７０％程度に低迷していました。稼働率はものづくりをどれだけきちんと行えるかの指標ですが、その数字をメンバーたちが気にする様子は見られません。率を上げようと言っても「質の悪い壜が混ざってくるからしかたない」と、壜のせいにばかりしていました。
　組革研の「リーダー参加」から職場に戻ったパッケージング担当部門の部長と課長は、さっそく部下に「目標は必ず達成せよ」と迫り、充填機が停止する際のデータを取らせました。それを集計してみると、停止の主原因と言われていた破壜の影響は何と１～２％しかなく、残りの３０％ちかくは他設備のトラブルだったのです。
　この結果は部下にとって衝撃的だったようです。「稼働率が悪いのは自分たちのせいだ」と考える者も現れ、その後は自らＰＤＣＡのサイクルを回し始めたこともあってか、次第に稼働率は上昇してきました。
　「コンベア搬送中に小壜が倒れる」という問題も稼働率を下げていた要因の一つで、皆の悩みの種でした。ところがある日、数年まえに “コンベア制御” の講習を受けたことがある一人が、「自分が解決する」と宣言して当時の資料を読み返しはじめたのです。決意を新たに一から学び直すと次第に原因が明らかになり、彼の立てた対策案でとうとう問題が解決してしまいました。教えられ、受け身で聞いた時には役立たなかった知識が、必要に迫られて自ら学ぼうと取り組んだことで、実際に使える技術になったのです。
　以前は「調子が悪いのが普通」という空気に満ちていた職場が、「目標必達」を上司が迫ることで皆が動き出し、稼働率が上がり続けています。

――　キリンビール取手工場の「仕事改革」を３週連続で毎週火曜にお届けします。
詳細な実態は、７月２４日(金)の「組織革新研究会/定期報告会」で報告されます。