「対象」に迫って、トラブル解決へ

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　私は工場での電気関係の保全メンテナンスを担当しています。
　長期にわたってトラブルが続いている設備がありました。メンテナンス課だけでなく、装置メーカーが見てもその原因がわかりません。しかもコンピューター制御による装置のため、内部を調べられないという気おくれもあり、これまで現場も私たちもその対応に二の足を踏んでいました。
　速度を上げるとトラブルが起こるため、いたしかたなく運転能力を下げて稼働させ、故障があるたび関連しそうな部品を交換するという対応のくり返しです。皆、その対応に疑問があるものの、自ら踏み込んでこの問題を解決しようとする者も現われません。
　その頃組革研に参加した私は、「対象に向き合う」という初めての体験をしました。職場に戻るとさっそく、課のみならずオペレーターや機械担当者も集め、「装置がどうなっているか」について、その構造を改めて図面で確認しながら、動き、メカニズムについて「わからないこと」を書き出させました。さらに今までの不具合を時系列にまとめ、それを貼り出し、対応時のデータとともに「わからないこと」を一つひとつ確かめていきました。
　それらをもとに「仮説」を立てメーカーとも協議して調べていくと、コンピューター制御内の電気トラブルと思っていたものが、実は、装置内のある部品の摩耗によって本体が振動し、それが制御の電気系統に影響した機械トラブルであったことが判明したのです。
　これをもとに対応すると異常は発生しなくなり、運転能力も下げることなく稼働できるようになりました。メーカーでさえ特定できなかった原因を、皆で解明し、やり遂げた瞬間です。