「わからない」ことから目を背けない

「いいな」と思われたら押してください。

　私は、ビール類の壜製品を製造する工程全体を担当していますが、この工程の経験はほとんどありませんでした。設備の不具合への対策や工程改善など具体的な話になるとわからないことが多く、内容を熟知している担当者の迷惑にならないようにと、彼らの意見に口を挟めず、言われたまま従っていることもありました。
　その頃参加した組革研では、「Ｓ－２０」でゴールできずに悔しい思いをしました。仕組みの一部がわかっただけで全てを解明したと思い込んでいたのです。リーダーから「わかったつもりになっていないか？」と再三言われた場面が頭をよぎります。そこには職場と同様、わからない状態に目を背け、そのままにしていた自分の姿がありました。
　職場に戻り、この悔しさを何とかしたいと取り組みはじめました。まず、「わかっていない」自分と正面から向き合おうと思い、今まで不明のまま放置していた工程内の事がらについて、改めて100件以上を目標にして「わからないこと」を書き出しました。110を超えたそれを資料で調べてみると新たな疑問が生まれ、現場に行って担当者に尋ね、さらには現物を確認しました。すると、大きな違いはないとこれまで思い込んでいた洗浄ノズルの形状が、目的や用途によりさまざまな種類があり、しかもその向きにも指定があるなど、今まで知っていると思っていたことが実際にはわかっていなかったことが明らかになり、初めての気づきや、発見に繋がりました。
　調べたことが少しずつ自分のものになっていく感触はありましたが、まだまだ全てではないと、組革研での体験を肝に銘じています。今後は、現場や現物を先生として、「わかったつもりになってないか？」と自分に問いかけ続けていきたいと思っています。