部下の成長を邪魔していたのは私だった

「いいな」と思われたら押してください。

　私のチームには、たびたび作業の手順や情報の入手方法などを聞きにくる若手の部下がいます。私はその都度、「以前にも同じ質問をされたな」と感じながらも、一から詳しく説明していました。私の指示がないと彼は何もできないのだと考えていたからです。
　そんな中、組革研を体験して、部下の成長を妨げているのはリーダーである自分だったことに気づかされました。彼が主体になって全力で取り組むようにすることこそが私の仕事だったと痛感しました。
　組革研から戻り、具体的なすすめかたの指示はやめ、自分で考えるようにさせました。彼の状態を見て、どうしても必要だと思ったときだけアドバイスするようにして、「考える」ことを奪わないようにしました。
　ちょうど、ある案件の依頼が製造部門からきたので、彼に任せてみることにしました。彼は突然の指示に不安そうでしたが、「なんとかやってみます」と言って取り組みはじめてみたものの、遅々としてすすまず、悩んでいるようでした。
　その後しばらくして、途中経過を報告に来ました。彼が考えたプロセスでは手順間違えや検討項目漏れが多いなど、このままでは明らかにクレームが出ると思い、もう一度見直すように言いました。私が「この場合はどうする？」など突っ込んで聞いていくと、「なぜそこまでやらなければならないのか」という表情をしたので、それでも考えるように迫りました。
　こんなやりとりを繰り返しているうちに、アドバイスすることも減り、質問すると、「〇〇を検討した結果なので問題ないと思う」と彼なりに考えた答えに変わってきました。さらに、「こう考えるので、この方法が良いと思う」と提案してくるようにもなりました。