組革研体験した横浜ゴム株式会社新入社員の取り組み

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村松優太 27歳 タイヤ生産企画部 2016年入社

 入社から1年半。ようやく研修期間が終わり、現在の部署に本配属されたのですが、それから2週間も経たないうちにいきなり上司から「北米へ飛んでくれ」と命じられました。ミシシッピ州にある弊社のタイヤ工場の支援が私に与えられたミッションでした。
 「新人の俺に何ができるんだろう」と不安はもちろんありましたが、それよりも任せられた嬉しさ、海外で仕事ができるワクワク感のほうが強かったです。現地駐在ではないのですが、1年の3分の2はアメリカに滞在するという生活を今日まで続けています。
 立ち上げから数年のまだ新しい工場で、私が行った頃はすでにラインは稼働していたのですが、トラブルが多発していました。現地の従業員たちと協力してその問題を解決してこい、と送り込まれたわけですが、入社1年ちょっとの新人です。しかも研修中は設計をやっていたので、工場現場のことなど何もわからない状態でした。さすがに当初は「いったい、何をどうすりゃいいんだ」と困惑しました。でもすぐに慣れました。
 実際、文化も仕事への価値観も日本とは異なる面も多く、大変だなと思うことも多々ありましたが、今考えてみると、実は全然辛くはなかった。むしろ自分にとっては、新鮮な出来事や出会いがいくつもあり、刺激的でエキサイティングな毎日で、今日まであっという間に過ぎてしまったという感じがしています。
 北米工場はタイヤ製造の経験が浅い従業員が多く、工場全体を見てもまだまだ未完で発展途上の状態だったと思います。当然トラブルも多いのですが、逆に一つのトラブルを解決すれば、ダイレクトに業績に反映されるので、実にやりがいがあるのです。私自身まだまだ未熟ではありますが、工場全体が「昨日よりよくなった」という手応えを日々感じながら、ここまで何とかやってこられたかなと感じています。
 その原動力は何だったのか。そう考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは、北米に派遣される直前、まだ研修中に参加した「組革研」での原体験でした。お世辞でも何でもなく、この体験が私に及ぼした影響は極めて大きいものがありました。
 「S―20」では頭をガツンと殴られたような衝撃を覚えました。最初にチーム全員でわからないことを列挙し、法則を見出す作業がありますが、私は「これに違いない。もう大丈夫だ」と早々に仕組みを解明したつもりになっていました。ところが、「お前、本当にそれでいいのか」とチームリーダーに言われ、急に不安になり出したのです。
 職場での自分の失敗パターンが脳裏に浮かびました。パソコン上のデータを見ただけでこういうことだろうとわかった気になり、意気揚々と上司に報告する。しかし、実際の工場では不具合が生じていた。こんな失敗を何度かやっていました。その苦い思いが、リーダーのひと言で蘇ってきたのです。
 「俺は自分の都合のいいように『対象』を見てはいないか。自分の出した答えを守るためにただつじつま合わせをしようとはしていないか」、そう感じたのです。この経験がなかったら、北米での仕事はもっといい加減なものだったと思います。「これくらいでいいや」、「これでほぼ間違いないだろう」と、表面を撫でるだけの仕事しかできなかったように思うのです。
 「組革研」体験で得た最大の気づきは、ものごとへいかに迫るか、ということでした。ギリギリまで粘ってとことん本質に迫る。たとえそれが間違いだったとしても、猛迫し、深掘りしてはじめて見えてくるものがある。「組革研」の体験を絶えず意識することで、そうした姿勢で仕事に臨むことができてきているような気がします。
 それからもう一つ。課題と向き合うとき、ただ「『対象』に迫るぞ」と言い聞かせるだけでは精神論で終わってしまうと思い、私は北米工場に「組革研」的手法を持ち込みました。タスクごとにチームをつくり、「個全システム」によるミーティングを見よう見まねではじめたのです。
 チームには日本人もいればアメリカ人もいます。日時を決め、ミーティングルームに集まり、「トラブルがどうなっているのか」を各自紙やホワイトボードに書き出し「一覧一望」する。そこから議論がはじまり、一つの結論を導き出していくというものです。
 スタッフとのミーティングである程度まとまったところで、それを現場の製造する人にも聞いてもらうと、「それは厳しい」などの反論も出てくる。そこで、次はその人たちにも入ってもらってどうするか議論しました。
 最初はとまどうアメリカ人スタッフもいましたが、今はみな興味津々という感じで取り組んでくれるようになったと思います。
 これをはじめたことによる最大の成果は、「『対象』に迫る」ということが自然とスタッフたちの中に意識化されてきたことです。もちろんすべてのスタッフがそうなったわけではありせんが、何人かは私と同じ視点に立って、現在仕事をしてくれるようになったと感じています。それが何よりうれしいことでもあり、これからも続けていきたいと考えています。
 「組革研」は私の原点です。

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