このコラムの今年の終わりにもう一度、「部下を育てる、導く」などを口にする人たちに訴えたい。あなた方は多分、その眞逆をやっていますよ、と。そこに全く気づいていませんね、と。部下たちをして、人間力を抑え込んでロボット症人間に育てあげているのである。よかれと思ってやっているから、その動きは底知れずだ。極論すれば、部下たちをだめにするのに一生懸命になっているのである。私がそう確信するのは、組革研に「リーダー参加」する人たちの全員ちかくの動きがそれだからだ。
このことを力説するのは、今年だけでもこれで3度目だ。社会的レベルでも企業レベルでもあまりにも肝心要の問題だからである。
眞逆とは、行きつくところ次の二つに絞られる。一つは自己防衛、何よりも自分のスタンスを安全地帯におくこと。もう一つは、部下の力を侮っていることである。この二つが肉体化され、無意識の下に展開されているようだ。
前者において顕著なのが、部下に嫌われない努力だ。したがって、部下にやらせきることができない、というよりも、そこから逃げようとする。仕事を媒体にして部下と眞正面から人間として向き合うことができないのだ。その結果として、部下は易き方向へと流されていく。
後者において顕著なのが、教える、説明する、指示する、世話をやくである。相手かまわず。したがって部下は考えない、というよりもそこには考える余地がない。いわんや、人間の成長を左右する苦悩の機会などはゼロに等しい。全ては、言われるのを待って、そのとおり動けるかどうかはともかく、そうすればよいのだから。
人を大事の言葉の下、トップからボトムに至るまでこの二つの体質の連鎖で組織ができ上がっている企業もあるようだ。事業展開さえ当たっていれば、それでしばらくはやっていけるのであろう。
リーダーによるこの二つから解放されて、まだ弱々しさを残しつつも人間力を回復しつつある部下たちの姿を、このHP上の「一歩踏み出せた/現場から」ではデイリーに見ることができる。
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