「ロボット的に仕事する人も必要なのか」―― 先日の「組革研/定期報告会」で某出席者から出された(紙に大きく書いた)質問である。あとで読むと何を聞こうとしているのかよくわからない内容だが、その時の私はそそっかしくも「必要なのではないか」と読んでしまっていた。それによってこの人間観に腹立たしさを覚え、相手の言いぶんに耳を貸すこともなく、「冗談じゃないですよ」の一言で失敬してしまった。
質問の真意はさておき、「必要なのではないか」と受けとってしまった言い訳をすると、その種の意見や質問が組革研会期内でもよく出てくるからだ。私がよく口にするロボット症、すなわち人びとの非主体性・非創造性・非個性的状態にかかわって、いわゆる単純作業をイメージしてのものであるらしい。
事物の単純化はきわめて大事だ。だが、単純化=単純作業化ではない。単純作業化させるものは、事物側ではなく、マネジメント側にあるのだ。巷で単純作業と言われているものに対して、従事者がいくらでも人間らしくその作業と向き合うようにすることができるのである。私がよく言う「人・仕事関係」によってだ。その結果として、作業成果も一変することになる。
径と深がそれぞれ1mの穴を掘る作業をするとしよう。どの位置にどんな角度でスコップを入れていくかで作業成果は大違いとなる。そんなコンクールもあるそうだ。私はよくものを書く。パソコンを操らない、というよりも操れない。そこで入力を事務局の誰かにやってもらう。この文章もそうだ。世間の常識からすれば、入力者にとってはただの忠実な単純作業ということになる。だが実態はとんでもない。彼・彼女らは実に主体的・創造的・個性的にやってくれる。私のミスを直す、文や用字・用語へのアドバイス、レイアウトの美しさなど。
そのような仕事のしかたの質を、私は「仕事品質」と呼んでいる。物の品質は仕事品質の大きな結果だということになる。
「仕事品質」は有りとあらゆる仕事に存在する。それを追求し続けるところにロボット症などありえない。そういう「人・仕事関係」を構築していくことこそがマネジメントである、と私は確信してやまない。
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