もう2年も過ぎただろうか。「楽曲の常識からははずれているが、いい交響曲が出ている。『何とかこうじ』という作曲者は全聾だそうだ」とは、私が50年も通っている床屋での音楽家の声であった。どんな曲かと気になっていたところ、NHKスペシャル「魂の旋律~音を失った作曲家」なるテレビ番組で、「交響曲第1番HIROSHIMA」を聴くことができた。
まぁいいなぁと思いつつ聴いていたのだったが、その聴覚はあまり後を引くことなく、後々に残ったものは、万雷の拍手の中に現れたあの格好の佐村河内守氏なる人物の胡散臭さであった。それ以来、ハンディを負った人をそんな目で見てはいけないという私の左脳の努力は、そんな私の右脳を抑えることができないままを過ごしていた。
そして去る7日の謝罪会見である。私はその半分くらいをテレビで見ていた。格好を一新し、手話通訳者を同伴して現れた彼に、記者たちの追及は小突き回すがごとく激しく続いた。
佐村河内氏に改めて言いたいことはもはやない。その罪深さは論をまたない。だが、追及側に対しては声を大にして言わねばならないことがある。
その一つは、彼の難聴に関してだ。追求する記者たちはもとより、テレビに同席した耳鼻科の医師までもが、暴力的に私には映ったのである。ほんとうは聞こえているのだという論調なのだ。「感音性難聴」とかいう訳のわからぬ診断をされている彼は、「音が曲がって、ねじれて聞こえる」と言っている。音量ではなく、子音が変形してしまうのだ。音質などの諸条件によって、判聴できたりできなかったりするのである。なぜ私にそんなことがわかるのか。私自身がそのごく軽い症状を抱えているからである。現在の聴力検査は、ブーとかジーとかキーンとかの音量のみのそれであって、この種の診断はできないのではないかと思われる。私は今までに数十回の聴力検査をうけているが、毎回、齢に見合って正常なのだ。
もう一つは、彼の罪を追及する記者たちのスタンスである。彼だけが眞っ黒で自分たちは眞っ白なのか、ということだ。「現代のベートーヴェン」とか「魂の旋律」などと言って民衆を煽ったのはマスコミではないか。その結果として起きたこの騒動であろう。彼の仕業を妄信してしまったことを省みることはないのか。
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