「規制改革」というと企業活動の規制緩和を指すのが常識であろう。既存の悪しき秩序にどこまで踏み込みうるかはともかく、それがアベノミクスの第三の矢である成長戦略の主要をなすことは明らかだ。規制が企業の競争力を殺ぎ取っているからである。
　それに対して私は、もう一つの「規制改革」を提唱し続けているのである。前記が企業の外に存在するものであるのに対して、それは、企業の内に蔓延るあまりにも重大かつ強力な規制なのだ。のみならず、前者が誰もが承知しているものであるのに対して、それは、全く以ってほとんどの人たちに気付かれていないものである。人びとに対するマネジメントがそれだ。その名を「管理」という。
　管理が、人びとの思考と動きを規制して人間力を抑え込み、気抜け人間を生み出し、思考停止人間を作り出しているのだ。即、企業の競争力を殺ぎ取ってしまっているのである。
　その実態は組革研の「ディリーメール」によってだけでも一目瞭然ではないか。これほど強力な競争力殺しが他にあろうか。しかもそれは、意図せず、意識せずして行われているのだから止まるところを知らない。
　“人間立国” 日本、どうしたら、人と組織に対するマネジメントの変革に衆目の問題意識を誘起することができるのだろうか。