あれからはや30年ちかくが経っただろうか。比叡山の一隅で、あの荒行を満行して暫くを過ごされた阿闍梨・光永覚道師に一時間ほどお目にかかることができた。その別れしなに師の口からこぼれ出たものが、「まだ忘己利他ができないので、もう一段深い行に入るつもりです」であった。
「忘己利他」は仏教が掲げる人間の生きかたである。だがそれは、私には間違いなくできないことだと、山からの昇り降りの帰り道で早くも “悟って“しまったのであった。
それに変わって私の日々を支える基本理念は「思己利他」である。これは私の造語だ。「思己」とは、デカルトの「我思う故に我あり」を然るべく摘み食いさせてもらったものだ。思己だからこそ誠に他を利するのであって、他を思己の具にすることではない。「思己利自」に非ず、因果応報の理である。
事業とか経営というものは、元来、「思己利他」に拠って立つものではなかろうか。「利他」にしてはじめて、その「利」はブーメランのごとく我に帰ってくる。しかも、増幅されて大となってだ。「利他」の意識が小なる「利」はまた小だ。かつてP.F.ドラッカー氏と小林茂先生、私とで会食をした際、氏が「長期最大利潤(long-term profit maximization)」なる言葉をくり返していたが、これも似ているのではなかろうか。
多くの企業人が二言目には口にする「費用対効果」なる発想、それはきわめて大事なものだが、その裏側には「利自」のみに限りなく嵌まり込んでいく危なさはないのだろうか。今続発しているホテル等の虚偽表示メニューも、そんなことと無縁ではないと思えてならない。
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