金を溜めて金に溺れる。知を溜めて知に溺れる。見える人には、その種の人が巷に溢れている。とりわけ今日、後者のオンパレードだ。
先日のテレビ*でその典型を見た。話の主は京都大学総長の松本紘さん。「創造性ということがよく言われますけれども、それも知識のべき乗で決まりますから、10コ知っている人は11コ知っている人の半分しか創造力がないんです」とおっしゃるのである。その言葉の直前は、インタビュアーの「突出して何かに秀でるよりも、万遍なく(学校で知識を)とっていかなくちゃいけないって感じですか?」に「万遍なくとるべき」と応えていた。
共に見ていた妻と、同時に「ええーっ」と声を発してしまった。太字の部分、いったい何をもってそんなことが言えるのか。そんな事実がどこにあると言うのだろうか。
もしもそれが本当だとすれば、私などは創造力ゼロだ。それどころではない。あの大天才・アインシュタインも私と同類項入りしてしまうではないか。なにしろアインシュタインは、思わしい点数がとれなくて最初の大学入試に不合格だったというのだから。ある教授からは「君には物理の才能がない」と言われていたそうだ。
一般的には、高学歴者のほうが低学歴者よりも知識量を溜めている。一流大学卒ともなればなおのことだろう。ではそのような人たちが創造的か? とんでもないと言わねばならぬ。その反対、松下幸之助さん(パナソニック創業者)は小学校中退であった。それでいて世界に冠たる創造的事業を展開された。
知識は、もちろんあるほどよい。だがそれは、創造性に対しては「諸刃の剣」であることを、日本の多くのリーダーが知らぬようだ。松本さんはその代表的なお一人であろう。
熱意、執念、感性などという人間の内なるものこそが創造力の源泉だ。知識という外なるものはその材料あるいは道具である。
(*14.7.24.171CH「日経プラス10/なぜそこまで? 京大総長の教育改革」より)
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