STAP現象の存否については、私は存であることを盲信するのみでどだい知る由もない。前週に続いてここに記すのは、それを立証する論文の捏造・改ざんという不正の存否をめぐっての私の仮説である。これが常識から食み出していることはもとより承知だ。
論文が難点だらけだったということはよくわかる。実験ノートも粗っぽいようだ。しかしそれが小保方さんの不正意識から発しているのだとは、私にはどうしても思えないのだ。では、何がそんなものを生み出したのか。「思い入れ」こそがその “主犯” であり、二方向からのその狭間で起きてしまったことだ、というのが私の仮説である。
「思い入れ」は人間の主体性の源泉だ。事業だろうがスポーツだろうが芸術だろうが、研究もとよりだ。それが無ければ、仕事は作業と化してしまうし、人は動く屍と化してしまう。ところがこれが悩ましい存在でもあるのだ。それが強ければついつい「勇み足」をやってしまうのである。そんな現象は至るところに存在する。変に例えれば恋愛関係などに間々見ることであろう。
「思い入れ」の一方向は小保方さんからのものである。彼女は、「多くの人びと(難病患者)の役に立つことを夢見てやってきた」「私が死んでもSTAP細胞は残ります」と言う。「思い入れ」の強い女性だと察する。「彼女はSTAPの存在を信じている。(中略)思い入れがある」と、野依理事長も語っている。
さらに、彼女を特徴づけていることが二つある。一つは、相当に個性的な人らしいこと。「研究室を渡り歩き、自己流のやりかたでここまできた」と自ら言っている。研究組織の秩序から食み出し、ためらいなく実験そのもの一点にのめり込んできたのではないか。相伴う他のことにはそれどころではなかったのではないかと察する。もう一つは、30歳という若さだ。iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授も「30歳代では研究者としては未熟だ」と語っている。
だからといってそれでは済まされないであろう。小保方嬢はどでかい「勇み足」をやってしまったのだ。世の中にはそういう人もいるのである。私のごく近くにも彼女とよく似た女性がいる。やることもそれがもたらす結果もそっくりだ。
「思い入れ」のもう一方向は、理研の「特定国立研究開発法人」への格上げを確かなものにするためである。
そのタイミングを狙って、『ネイチャー』誌への投稿を急がせたのではないか。そう考えると、小保方さんが昨日の記者会見の冒頭で「データを同時にまとめて執筆していく作業は私の能力をはるかに越えていた(略)」と言っていたのも、日本人共著者たちが論文を読み込んでいないらしい理由も察しがついてくる。1月29日の理研での発表は、そのためのデモンストレーションであったのであろう。
この、理研の「思い入れ」に関する記述は私の推論にすぎない。だがもしもだが、これが的を射ているとすればことは重大だ。小保方さん一人を悪者と決めつけて責めたてるその人たちこそが、この騒動の黒幕であったということになってしまう。
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