「うまくいっている、いないは、実態ではなく認識である」と、2週まえ(No.204)のこのコラムで記した。 したがってリーダーは、問題が起きたら幸いとばかりに捉えて、その問題を大きくしてみることだ。 うまくいっていない状況がみんなに認識しやすくなるからである。
ある中規模の精密機器メーカー副社長からの年賀状に、 「昨年は 〝消防〞に明け暮れました」とあった。 トラブルの 〝火消し〞に飛び回っていたということらしい。 組革研に関心の深い人だったので、私はてっきり彼は、昨年の 〝消防〞を悔んで 〝火付け人〞への転換をこの年賀状で語っているのだと受け取っていた。 ところがそれは誤解で、相変わらず 〝消防〞を続けていたらしいことを後で知ることとなって心配していたら、今年の年賀状には 「いま業績が創業以来の最悪です」と書かれており、ご苦労のほどを偲ばせていた。
組革研では、 〝火付け〞が 「リード」の常道になっている。
荒廃する学校の変革も、 〝火〞を大きくすることによって成功している。
今日の学校運営の大変さは、企業の中の比ではないようだ。 最も脱社会現象の激しい層の大勢の子どもたちを抱えている。 にもかかわらず、マネジメントについてはずぶの素人、 それどころか企業のような管理能力さえ持っていない。
このような事態に立ち上がった学校運営の責任者の勇気ある動き、それは私が知るだけでも10を数えるくらい報告されている。 それらは例外なく、問題を大きく取り上げ、生徒を中心とした関係者全員の前に、その状況を生々しくさらけ出し、それを共有することを出発点としている。
このような学校再生への出発のありかたは、行き着くところまで行った学校運営の背水の陣から生まれた大技であると思う。
問題がなければこちらから起こせばよい。 問題を起こせとは何とも乱暴な話だが、問題が起きるのは、そこにそういう素地があるからであって、それに点火をするだけのことだ。 潜在しているものを顕在化させるだけのことである。
組革研の初代キャンパスリーダーであった小林茂さんは、組革研でのマネジメントを 「チームマネジメント
(Team Management)」と表現していたが、 「TMとはTrouble Making のことだ」とよく語っていた。
( 『状況が人を動かす』第五章より抜粋、少し加筆)
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