事実をありのまま見た後は、その事実をありありと 「再現」することである。 状況の事実は、時間的にも空間的にも雑然と存在している。 それらを 「一覧一望」できるように取り揃えなければならない。そのための再現である。
この段階で、ありのまま見た事実の生々しさを著しく落してしまったのでは、台無しになってしまう。 もちろん、事実そのものを持ち込めれば文句なしだが、ほとんどの場合それは無理。 そこで、それを再現するための工夫が必要になってくる。 事実の代替化、即ち、何らかの表現手段によって、事実の代りをさせなければならないわけだ。
事実の代替手段には、いくつかのレベルがある。 生き物を例にして生々しさの弱い順に並べてみると、言葉 (その名前)―絵―写真―標本―生きている実物、ということになろうか。 いや、これとて視覚だけによる表現であって、他の要素を入れたらそれこそ際限がなく、最後には哲学的領域にまで入ってしまう。
そこで実用上、ほどほどに止どめることになるわけだが、たとえ半歩でも生々しくに近づき、事実をありありと代替しうるものを選びたい。
多くの場合、ビデオ、写真、絵、図などのビジュアルなものがよく、やむをえない場合にのみ言葉ということになる。 とにかくそれらを総動員することだ。
ビジュアル化しようとすることには、もう一つ大きなメリットがある。 事実であるかないかのチェックができるということだ。 つまり、事実をビジュアル化するのはやさしいが、観念、解釈や評価、感想など、人工処理されたものをビジュアル化するのは、芸術的アプローチの場合を別にすれば、不可能にちかい。したがって、自ずとその区別ができることになる。
言葉は、汎用性も高くこの上なく便利だ。 だが代替能力は最低である。 言語形態は共有できるが、それが意味する中身はきわめて共有しにくいからだ。 極端な場合には、同じ言葉を反対に受け止められることさえ起こる。 したがって、言葉に全面依存するのはかなり危ない。
福井商工会議所が、県内の企業人348人を対象に言葉のイメージ調査をしたことがある。 その中の2、3を拾い出してみるとこうだ。 「『大勢』とは何人?」に対する回答では、最多が1万人で最少は4人。 「おじさんというと何歳以上?」では78歳と22歳。 「長電話」に至っては10時間と2分間、なんと300倍もの開きがあった。 言葉とはこんなものである。
( 『人を人として』第六章二より抜粋)
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