キャンパスリーダーの独り事

正反対の結果をもたらす二種の 「応援」  No.173

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  先週12日(水)の 『組革研デイリーメール/一歩踏み出した/企業の現場から』 は、三菱日立パワーシステムズの大石さんが組革研で気づいた 「部下を応援する」 であった。 マネジメントセンターのこの 『メール』 の担当者にも注意したところだが、これを飛ばし読みしてしまうと真逆に誤解されかねないので、このコラムで注釈しておきたい。
  管理体質の人たちが言うところの 「部下を応援する」 は、具体的な場面で表わせば、教えたり、手伝ったり、助けたりすることであろう。 私が言うところの 「応援」 は、その反対なのだ。
  教えたり、助けたりしていたのでは、人は育たない。 ロボット症になるだけだ。 教わって動くのだから、自分で考える必要もなければ発見することもない。 助けてもらうほどに自立からは遠のく。 介護ヘルパーの使命は要介護者の自立を促すことであって、それを具体的な場面で表わせば、手助けをいかに必要最小限にするかに尽きる。 これについては厚労省の見解も同じだ。

  我われ人間は、 「やる気」 と 「やらないで済ます気」 という、矛盾する二つの 「気」 を持って日々を生きている。 過去の拙著では、前者を “生産的” 欲求、後者を “消費的” 欲求と、やや理くつっぽく表わしていた。
  前者ゼロの人はいない。 後者ゼロの人もまずいないであろう。 ほとんどの人は自分の中で日々、この二つの 「気」 が綱引きをやっているのだ。 そしていつの間にか、ついつい、 「やる気」 は 「やらないで済ます気」 に引きずられてしまっているのである。 やるべきことが大変なことともなればなお一層だ。 その状態こそが、人間という生きものの自然の姿、人間とはそういうものなのではないか。 私などはこれによるもやもやの連日だ。 かつての小学校の修身の教科書には後者ゼロらしき二宮尊徳が出てきたが、この人などは人間に非ずと言いたくなる。
  そのようにして我われは、持ち合わせている力を出さずして生きているのだ。 力は使わねば伸びない。 何ともったいないことであろう。
  私が主唱する 「応援」 とは、部下の二つの 「気」 の綱引きに対する前者への応援を指しているのである。 その方法論こそがマネジメントの核心であって、それについては拙著に詳しい。

17.1.14.

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