9週にわたって連載してきたこのドラマの最後は、彼らが抱いた夢はどうなったかである。
3年後、それは見事に実現、全員が一流セールスマンの地位に辿り着くこととなった。 全セールスマン約200人中、8位、10位、16位、20位、33位。 営業所業績は、K着任当初のどん尻から、1年後にはトップの座に着き、それをずうっと維持し続けてきた。
夢の実現に喜んだKから、その業績表が組革研の事務局に送られてきたのだった。
業績もさることながら、そこに至るまでの日々もまた、感動で継ぎ合わされていた。 なにしろ自他ともに認めるだめ人間、夢も希望も抱いたことのない人たちが、仕事の中で人間として「生きて」きたのである。 彼らの 「人間力」 の種子は、深い眠りから覚めて、見事に発芽したのであった。
毎夜のミーティングは、彼らにとっては発見の連続。 おもしろくて、興奮して、とても帰る気にはならなかった時をどれほど過ごしたことか。 怒鳴られながら、ときに殴られながら、悔しさに泣きながら、やっとのことではあっても自分の思いで動くことの心地好さ。 それが業績となって実を結んだときのうれしさに身を震わせた。 給料も増えた。
もちろん、山あり谷ありであった。 そのつど、Kという1人のリーダーと5人の部下たちという、人間と人間のより強い連なりへとエスカレートしていったのであろう。
彼ら一人ひとりの努力を、涙なくして聞くことはできない。 なにしろ、ユーザーを訪ね、その不在を夜中まで待つことなどざら、明方の3時、4時まで待つことさえ少なくなかった。 自分の目標の実現のためには、 「いいから、もう帰ってこい」 と言う所長命令さえ聞き入れなかったという。 Dにいたっては24時間営業体制、自分で 「コンビニのD」 と呼んでくれと言っていた。
そして、5人の現在である。 Kが異動してから5年が経った今 (当時) 、1人は販売課長に、1人はサービスに職種転換、3人はセールスのベテランとなってがんばっている。
K所長の部下のセールスマンには、5人のほかに2人がいた。 この2人は、ときに5人と共にミーティングを続け、ときには5人のライバルとなってK所長を支えてきた。 この2人についての記述は省いたが、現在はともに販売課長となって、全社で1、2位の業績を競い合っている。
ちなみにこの会社は、この数年の間 (当時) に、人の面、業績の面で他に抜きん出た企業となっている。 それ以上の記述は名を伏せた意味が薄れるので省く。
( 『人を人として』 第五章二より抜粋、少し加筆)
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