キャンパスリーダーの独り事

「全てをさらけ出してかみさんと話し合ってくれ」
―― リーダー変革のドラマ(連載4)  No.163

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  前週までの流れは、K所長と5人の部下、その表側の動きであった。 このドラマは、Kと彼ら一人ひとりとの、言わば裏側でのぶつかり合いを抜いては語れない。
  以下数週にわたって、それぞれの象徴的な一場面を一つずつ選んでみる。

  まずは 「月曜不登社」 が続いていた最年長のAさん。
  「所長、ちょっと話があります」。 その内容を察したKは、ここじゃまずいと近くの喫茶店に彼を連れ出した。
「毎晩毎晩、笑顔の練習しながら家に帰るんです。 かみさんに暗い顔を見せると心配しますから。 もう耐えられません。 辞めさせてください」。
  Kは応えた。 「仕事を家庭へ持ち込むなと評論家などがよく言うが、俺は毎日そのまんま家へ持ち込むよ。 それでも家庭は何ともないよ」 「この喫茶店の夫婦も毎日子どもの前で仕事をやっているが、子どもがぐれたなんて聞いてないよ。 息子さんはオーストラリアで歯医者をやっている。 娘さんはそこにいる」。
  Kは続けた。 「重大な岐路を一人で決めるなんておかしいぞ。 全てをさらけ出して、かみさんと話し合ってくれ」。 「それと俺からの命令だ。 10月1日まで待て。 車は売るな。 間もなく辞めるセールスマンが売ったんでは、買った人に申しわけない。 じっとしているわけにもいかんので、ユーザーカードをやってくれ。 どんな家か、どんな人か、車はどんな状態かを調べてくるだけでいい。 万が一、買ってくれそうな人がいたら、係が違うので他の者をよこしますと言えばいい」。
  Aは翌朝、カードを2、30枚持って、誰よりも早く出ていった。
  その次の朝、Kの心配をよそに、Aはにっこりとして出社してきた。 「所長、うちのかみさんにはまいったわ。 話をしたら、すぐ本屋へ行ってセールスの本を3冊も買ってきて、俺に読めと言うんだよ」。 Kは、それ以上に立ち入るのはやめておいた。
  9月に入って、Kは聞いた。 「お前、10月に辞めるんだろ」。 しかしAは即座に否定。 この頃にはすでに、彼は一人前以上に車を売っていた。
  やがて彼は、 「すっぽんのA」 とユーザーの間で言われるまでになっていく。 お金が無いから買えないと言う客に、 「そこで俺は預金通帳を見せてもらったんだ。そしたら20万円しか残ってなかったよ」 と、客への無礼を心配するK所長を驚かせ、 「所長、ここまで事実を見ておけば文句ないでしょ」 と胸を張るのである。 辞めたいと泣いたあの日の1年半後のことであった。
  [来週に続く]
  ( 『人を人として』 第五章二より抜粋)

16.10.17.

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