キャンパスリーダーの独り事

人間は材にして材に非ず  No.159

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  「管理」 というものの概念をはっきりとさせておきたい。 この言葉がかなり曖昧なままに使われているからである。 「 (人に対する) 良い管理と悪い管理があるんですね」 とは、ある企業のトップから聞かれたことだ。
  管理とは、生産資源のうちの金、物、情報等々を扱う原理である。 それらは管理されるほどよい。 それは、その対象を大事にし、その価値を最大限にしようとすることから生じるものだ。 それ故に、その対象を自分が是と思うように動かそうとする。 したがって事の主体は、100パーセント管理する側にある。
  「人を道具として」 の人間観の下では、それを無為にして都合よく、人間に当てはめてしまったのである。 これによって人間が、金や物の扱いと同じ発想の下で扱われることとなってしまったのだ。 英語の 「MANAGEMENT」 は、日本語では 「管理」 と訳されてしまっている。
  世に氾濫する人の動かしかたの類の本やセミナーは、まさに管理による人間の取扱説明書だ。
  人間には、心がある。 血が通っている。 意志がある。 金や物、情報……等々にそれらは絶無だ。 したがってこの両者の扱いかたは、対照的になるはずだ。
  にもかかわらずいつの間にか、 「人のマネジメント=人材管理」 となって、企業内ではそれが骨の髄にまで浸透し、その発想は今日、学校はもとより家庭内にまで、この社会に広くかつ深く染み込んでしまっている。

  生産資源としての人材に重視されるものは、人間自体ではなく、人間が発揮することのできる材としての機能である。 しかし、その材のみをその所有者から抜き出すことはできない。 それ故に、この材を管理するということが、けっきょくは 「人間丸ごと管理」 になってしまうことになる。 管理されるほうも、自分が発揮できる材としての機能を自分から分離し、それだけを意識して動くことはできない。
  双方にとってその結果は、まるで人間の上下関係が成立しているかのごとき錯覚に陥っていく。 材としての上が人間としての上に変身してしまうわけである。
  立場としてはそのとおりである。 しかし、人間としては別だ。 この区別ができなくなるに至って、上長は目の前の部下を自分よりも下の人間と見てしまうことになる。 しかもその部下は、管理されて 「道具力」 のみで動いている。 ときにだめ人間のごとくに見えてこよう。 これによって、管理はさらにその度合いを強めていくことになる。
  これに効率化の発想が加われば、事態はどうなるか。 時が悠長に流れる時代はまだよかった。 ここ数十年の慌ただしさの中での効率化追求は、管理の発想を尽きることなく増幅してきていると言えよう。
  ( 『人間力』 第四章三より抜粋)

16.9.20.

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