問題だらけの生々しい状況の本当の共有化、それをどう推しすすめていくか。 一般に言うところの共有化では話しにならない。 「本当の」 とは、頭でわかったというだけではなく、一人ひとりが心で感じられるところにある。 それが 『人間力』 の第六章に記した状況の 「間接化」 から 「直結化」 である。
下の図は、そこのところをモデル化して表したものだ。 点線は 「間接化」 を示し、実線は 「直結化」 を示している。
右側が管理のパターンである。 問題だらけの状況を知っているのは上長であって、部下にはそれが説明されることになる。 つまり部下は、それを間接に 「知る」 ことになる。
左側は 「リード」 のパターンである。 リーダーもメンバーも共に状況を直接 「感じる」 ことになる。
生々しい状況に接しているのは、上長よりも、仕事の前線にいる部下の場合のほうが圧倒的に多い。 ただし、それを実感して掴めるかどうかは、当事者のその気と意識に支配されるところ大だ。 加えて、部下一人ひとりが接する状況の範囲は限られる。
そこで管理ではどうやるか。 上長が、おそらくは生々しさに欠けるであろう状況、情報などと言われるものを掴んで整理し、問題形成化して部下に説明することになる。
「リード」 ではどうやるか。 仕事の前線にいるメンバーの一人ひとりが接する問題だらけの状況の生々しい現象を、それぞれが 「ありありと」 「あますところなく」 再現し、みんなで一覧一望することになる。
「再現」 とは、仕事の中でのできごと、あれぇと感じたこと、まずいと思ったこと、意外に感じたこと、気になったこと、クレーム……等々、その場面を、絵や写真、言葉によってありありと表すことである。 なるべく大きく表すのがよい。 ありあり性においては現物に勝るものなしだが、多くの場合それは無理であろう。
「一覧一望」 とは、再現されたものの全体をひと目で見渡せるように貼り出すことである。
これによってリーダーもメンバーも同時に、問題だらけの生々しい状況を広範に自分の心で感じる、にぐっと近づくことができる。
問題だらけの状況は、 「対応」 すべき 「対象」 である。 闘って征服すべき “敵” である。
上下の立場でその辺のところはどうなるか。
管理のパターンの場合、上長はそれでよいかもしれない。 部下にとっては、問題だらけの状況は 「間接」 の存在であって、 「直接」 の存在はそれを説明する目の前の上長ということになりかねない。 「やらせる」 「やらされる」 の繋がりの中では、部下の無意識であろう心情においては、上長が “敵” になっていく恐れがありはしないか。 げんに、そういうケースが散見される。
「リード」 のパターンの場合は、問題だらけの生々しい状況は、闘って征服すべき共通の “敵” となる。 即ち、リーダーとメンバーは闘う仲間同士なのだ。
( 『人間力』 第八章一より抜粋)
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