組革研から戻った人たちが職場でよく口にする言葉の一つが 「ロボット症」 だと思う。 人間のロボット症候群、人びとが人間らしさを失ってロボット “らしく” なっている状態を指している。 アメリカの社会病理学者・ルイス・ヤブロンスキーが創唱した言葉であって、私は度々これを借用している。
閃きや感性を要する創造的な能力においては人間の独壇場だが、外力によって定められたとおり画一的に動くという能力においては、人間はロボットの足元にも及ばない。 それが人間の本来だ。
組革研で私は、参加者と数日間をかなり深く共にする。 ということは、平均年齢を43歳とする人たちの在るがままの変遷を、45年間にわたって期せずして定点観測してきたことになる。 ここで私が見てきたものをずばり言えば、まさに 「ロボット症」 進行の歴史であったということになる。 その程度は、年を追うごとに目に見えて著しさを増している。
ほとんどの人たちは組革研の中で、少しずつ己のそれに気づいていくことになるのだが、当初は 「ロボット症」 を顕にしている。 外力すなわち、全ては教えられないと、説明されないと、指示されないと、世話をやかれないと、動かない、いや動けない。 それどころか、そうされないことに不満を抱くようになってきているのだ。 まさに他力におんぶにだっこである。
ここに集う人たちの多くは、企業内では部下を抱え、家庭に帰れば親である。 社会的な影響力大のこの人たちにしてこの状態である。 広くこの社会全体としては、 「ロボット症」 の蔓延を見ることになる。
それは、ほんの軽度の人から限りなくロボットに近づきつつある人まで、その個人差はまことに大きいようだ。 だが、これに無縁な人は今ごくごく少数ではなかろうか。 一億総 「ロボット症」 だと言わざるをえない。 そういう私もその一人かもと、自らに恐れをなしている。
これからやって来るであろうロボットのAI化、このまま行くとそのとき、人びとの状態を何と表現することになるのだろうか。
( 『人間力』 第三章一より抜粋に加筆)
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