それら (前週のこのコラムの続き) に対して、私はこう答えている。
いっ時とはいえリーダーは部下の命運を握っている、と言ったら誇張がすぎるだろうか。 そのリーダーが、自分のもとにいる彼、彼女らの「人間力」の種子を、何としても仕事の中で発芽させ、花咲かせたい、そしてこの人たちが人生をフル燃焼させていくことに繋げたいんだ、との思いからの鬼だ。 部下のためが故の鬼だ。 部下を都合よく動かす手法として打算ずくめでやるのなら、それこそ正真正銘の鬼になってしまう。
もちろん部下は、リーダーの鬼に苦しむ。 しかし下から上は素通し硝子がごとくよく見える。 彼、彼女たちはやがて気づく、誰のための鬼なのかを。 これによって初めて、リーダーと部下という人間としての本ものの繋がりができていくのではないか。
それにしても、きわどい場面を迎えることもあろう。 ぶつかり合って、人間の火花を散らすことにもなろう。 そんなことを好む人はいないが、企業内は言うに及ばず家庭であろうが学校であろうが、退っ引きならない課題を抱えていながら衝突や葛藤のない組織などない。 あったとすれば、それは偽組織だ。
ここでの肝心要はただ一点、 “上” から “下” に、権力のみが伝わるのかそれにも増して人間としての思いが伝わるのか、である。
権力無用論に非ず。 マネジメントにとって権力は大事だ。 ただそれは、建物の基礎や土台に等しく、“建物” を支えるものであって、人びとの動きを左右させるものではなく、見せるものでもない。
“上” にとってリスクは付きものだ。 薄氷を踏む思いでやっていくことになる。 そのようなときの“上”の目は開き、だからこそ“下”の状態をよく見抜くことができる。 それがきっと、必要な手加減を教えてくれ、ほどよい対応を教えてくれ、リスク回避へと連なっていくに違いない。
その一については以上のように答えている。 その二と三については、ばかばかしくて応える気にもなれない。
( 『人間力』 第七章六より抜粋にごく少し加筆)
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