対象が “神様” なのに自分の頭を “神様” にしてしまっているという逆さま化現象、その典型例が 『人間力』 第四章に紹介した東北大学の学生 「自然現象が間違っていました」 である。これにいたってはごく稀なケースであろうが、その発想は稀どころか、遍く世を覆っていると断じたい。対象に関して何か異を感じたとき、自分の見かたを疑うことなく、対象状況を訝かしがることである。つまり、自分の頭に残っている経験や知識が “神様” なのである。
対象を捉えるためには、まずはそこから脱け出さねばならない。自分の頭が “神様” になりかけている人間には、対象状況を見ることはできない。対象は、近づいてその気になって見ないと見えないからだ。対象が人間の場合はなおだ。
たとえ対象を意識できたとしても、次に現われてくるものが、それが自分にとってどうか、自分の都合、即ち 「自分満足」 の視点で見てしまうという逆さま化現象である。
仕事が意図するところの総ては、対象にとってどうか、対象の都合、「対象満足」 にある。
対象は絶対存在である。対応側がいようがいまいが、対象は厳然と存在する。料理を作る人がいようがいまいが食べる人はいる。ある企業があろうがなかろうが、顕在しているか潜在しているかはともかく、ユーザーは存在する。
その対象に対応して満足させていくためには、その対象を限りなく知ろうとしなければならない。それができないのだ。自分にとってどうか、自分の都合、自分満足の視点でのみ捉えようとするのである。
企業の中では、CS (Customer Satisfaction)゠顧客満足がSS (Self Satisfaction)゠自分満足に、自動変換されてしまってはいないだろうか。
対応の質の善し悪しは、対応側にとってではなく、対象にとってどうかで決まる。対応の質を評価する物差しは、対応側にではなく、対象側に存在するのである。
(『人間力』第九章二より抜粋に加筆)
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