キャンパスリーダーの独り事

「対象」の意識がゼロ/対象論(1)  No.128

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 「対象」という言葉を知らぬ人はいないであろう。義務教育で教わる言葉だ。小学生用の辞書には、例えば「心を向ける相手」などと説明されている。相手と言っても、それが人の場合もあれば、物などの有形、あるいは無形のものの場合もある。
 ところがである。あまりにも驚くことに、その概念を意識して持っている人となると、企業人の1パーセントにも満たない。ゼロとでも言うべきなのだ。企業人に限らないらしい。組革研に集う企業人の中には元大学教師なども含まれているのだから。国語辞典の中にさえ首をかしげたくなるような説明が目につく。これは、知識人と言われる人たちを含めたオール日本人現象ではなかろうか。
 我われ人間は毎日、「対象」に「対応」しているのである。対象とかかわってそれと相互作用しているのである。
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 左図はごくごく単純に、仕事というものを表している。仕事ともなれば、対象に対応していくことの明け暮れだ。企業の対象を最も大きく捉えれば、「お客」と「商品」ということになる。それをよく知らずして対応ができようか。
 と言うと、そんなことは百も承知だ、ばかばかしい、と言われるに違いない。ところがそうではないのである。組革研の体験のない人にはそう思えてがまんならないであろうことを、百も承知で記している。
 組革研での「人・仕事関係」、ここでは仕事のすすめかたと言ったほうがよいかもしれない。その一つは、何よりもまず「対象がどうなっているか」を明らかにすることにある。ところがこれが、ほとんどの人にとっては至難の業なのだ。丸一日を費やしても、対象をはっきりと意識化できる人は10パーセントにも満たない。
 難解だからではない。言葉としてはわかっているらしい。それなのに、「対」が一瞬にして「対」に変わってしまうのである。
 なぜ、立派な大人、それも知的レベルの高い人たちがそんなことになってしまうのか。わからない。謎だ。人びとの体質に、「対」が「対」に自動変換されるプログラムが組み込まれているのではないかとさえ思えてくる。
 <次週に続く>
 (『人間力』第九章一より抜粋、少し加筆)

16.2.2.

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