キャンパスリーダーの独り事

問題を糧として、心と頭は動く  No.126

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 私が「状況が人を動かす」ことに気づいたのは二十数年まえ、その著の執筆途上であった。気づいてみれば、あまりにも当りまえのことであって、今までどうしてこんなことが意識できなかったのかと、我ながら呆れたことを思い出す。
 困った状況にぶつかり、それを感じて初めて心や頭が動き出すのであって、それがなければ精神活動はおおむね休んだまま、「人間力」の種子は眠ったままというのは、私だけではないと思う。それが人間の普遍の姿ではなかろうか。
 我われ人間の身体は食べものを糧として活動し、成長していく。我われ人間の精神は問題を糧として活動し、成長していく。
 困った状況に生々しく直面すると、我われには、それと闘うかそれから逃げるかの二者択一の途しかない。
 逃げれば、その間の人生は無きに等しい。と言ってもこの社会では、逃げて済まそうとする人が圧倒的だと想像する。それにマネジメントがどう対応するかは、この書の第七章のテーマとしている。
 闘うとなると、荷を背負うことになる。それが大きなものであれば、退っ引きならぬことにもなる。そうと意識することなく自ずと、いつしか無我夢中の全力投球になってしまう。自分の力のあらん限りが出てしまうことになる。即ち、「人間力」が目を覚まし、火がついて動き出すのである。「人間力」は、さあ出そうと意識して出てくるものではない。
 人びとにとって、それは大変なことだ。困る、悩む、辛い、苦しい。ときに修羅場となるかもしれない。だからこそ、嫌だけど素晴しいのだ。大変なことほど、成否のいずれにせよ闘ったあとの心の振幅も大だ。オリンピックではないが、勝って泣き、負けて泣く。
 問題だらけの状況と闘っている中には、発見があり、己の息づかい、生きている手応え、実感がある。「生きている臨場感」とはまだ若さを残す僧侶の言だが、まさにそれだ。その状況を何とかかんとか乗り越えたところには、達成感、感動、何よりも「自分実現」が待っている。その道程こそが、ハラハラドキドキ手に汗を握る、筋書きのない自分の人生のドラマではないか。NHKのかつての『プロジェクトX』は、まさにこれであった。
 体験とは、そういうことを言う。楽することを体験とは言わないであろう。大変な体験こそが、我われを育ててくれるのだ。それが修羅場ほどのものならば、なおさらだ。安全な川で育つ鱒と食うか食われるかの海で育つ鱒では、成長が一〇倍も違うというではないか。
(『人間力』第六章二より抜粋、少し加筆)

16.1.17.

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