キャンパスリーダーの独り事

部下の力の発揮の邪魔をしている③  No.120

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 前々週、前週と続いてこのコラムで、上長による「無用」の四つの口出し手出しについてくどくどと記してきたのは、企業の中の上長が部下に対してやっていることは、これらのオンパレードらしいからである。この四つを果すことが上長の役割であり、それがマネジメントだと思い込んでいるかのようだ。それらがたとえマネジメントの一部であるとしても、それはごく端の一部にすぎない。
 このような「人・仕事関係」がいかに企業競争力を削いでいるか。
 動物の親は、子がある程度に育つと餌を与えないという。「動物力」を引き出すためにであろう。この辺では、人間の大人は動物以下だ。
 教えるのはいけない、説明するのはいけない、指示するのはいけない、世話をやくのはいけない、と言っているのではない。「無用」のそれをやってはならない、と言っているのである。
 この四つの有用か無用かを分けるものは何か。対象状況がそれだ。対象状況がそれを決めていくのである。
 リーダーの対象は、総じて捉えると「仕事」と「部下」である。仕事という表現を目標とか課題と言ってもよい。その両方の状況の相関の中に、有用か無用かの鍵が存在しているのである。仕事のほうで言えばその大きさや難易、あるいは緊急性・・・・等々。部下のほうで言えばその時々のパワー。
 部下のパワーを見計らうとき、着意したいことがある。パワーをちょっと大きめに見ることだ。私はよく「親が子どもの服を買うときの感じで」と考えている。親は子どもに今ぴたりの服は買わない。すぐ着られなくなるであろうことを予期するから。さりとて大人の服は買わない。それでは身動きがとれないから。
 そして事の主体は、それが有用であるかぎり部下のものとなり、無用であれば上長のものになってしまう。
 くり返す。「対応」の大枠は「対象」状況によって “ 決められる ” のである。
 ついでに申せば、それはマネジメントに限らず、万象について言えることだ。その「対象」の概念についてはこの書の第九章に詳しい。
(『人間力』第四章四より抜粋、少し加筆)

15.11.24.

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