前々週、前週と続いてこのコラムで、上長による「無用」の四つの口出し手出しについてくどくどと記してきたのは、企業の中の上長が部下に対してやっていることは、これらのオンパレードらしいからである。この四つを果すことが上長の役割であり、それがマネジメントだと思い込んでいるかのようだ。それらがたとえマネジメントの一部であるとしても、それはごく端の一部にすぎない。
このような「人・仕事関係」がいかに企業競争力を削いでいるか。
動物の親は、子がある程度に育つと餌を与えないという。「動物力」を引き出すためにであろう。この辺では、人間の大人は動物以下だ。
教えるのはいけない、説明するのはいけない、指示するのはいけない、世話をやくのはいけない、と言っているのではない。「無用」のそれをやってはならない、と言っているのである。
この四つの有用か無用かを分けるものは何か。対象状況がそれだ。対象状況がそれを決めていくのである。
リーダーの対象は、総じて捉えると「仕事」と「部下」である。仕事という表現を目標とか課題と言ってもよい。その両方の状況の相関の中に、有用か無用かの鍵が存在しているのである。仕事のほうで言えばその大きさや難易、あるいは緊急性・・・・等々。部下のほうで言えばその時々のパワー。
部下のパワーを見計らうとき、着意したいことがある。パワーをちょっと大きめに見ることだ。私はよく「親が子どもの服を買うときの感じで」と考えている。親は子どもに今ぴたりの服は買わない。すぐ着られなくなるであろうことを予期するから。さりとて大人の服は買わない。それでは身動きがとれないから。
そして事の主体は、それが有用であるかぎり部下のものとなり、無用であれば上長のものになってしまう。
くり返す。「対応」の大枠は「対象」状況によって “ 決められる ” のである。
ついでに申せば、それはマネジメントに限らず、万象について言えることだ。その「対象」の概念についてはこの書の第九章に詳しい。
(『人間力』第四章四より抜粋、少し加筆)
只今、サイトの更新を一時停止しております。
改めて更新を再開する予定ですので、少々お待ち下さいませ。
どうぞ宜しくお願い致します。
対談 あなたの会社はなぜ『メンタル不調』者を量産してるの
著者:藤田英夫・𠮷野 聡 発行:シンポジオン 発売:三省堂書店/創英社
脱「三逆リーダー」
藤田 英夫 (著) 発行:ダイヤモンド社 発売:ダイヤモンド社
「個全システム」によるミーティング革新
藤田 英夫 (著) 発行:ダイヤモンド社 発売:ダイヤモンド社
不感症体質に挑む「人間力」全員経営
藤田 英夫 (編) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
経営の創造
藤田 英夫 (編) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
第3の組織論
小林 茂 (著) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
人間力をフリーズさせているものの正体
藤田 英夫 (著) 発行:シンポジオン 発売:創英社/三省堂書店
人間力―そこにどう火を点けるか
藤田 英夫 (著) NTT出版
人を人として―指示待ち人間を目覚めさせるもの
藤田 英夫 (著) PHP研究所
「状況」が人を動かす―管理からリードへ
藤田 英夫 (著) 毎日新聞社
Copyright ©2018 MANAGEMENT CENTER Inc. All Right Reserved.