組織の中の一人ひとりには、三方向からの力の作用がある。上からの力、横からの力、下からの力。人びとに作用する力として、最も弱いのが上からの力、最も強いのが下からの力、かなり強くかつ実用的であるのが横からの力である。
と言うと、現実には人びとは上からの力によって動いているではないかということになる。そのとおりだ。動かざるをえないからである。そこに権力が作用しているからである。
管理においては、権力によって人びとを動かしている。「リード」においてはそれはないのか。
ある。と言うのは、リーダーの意識がどうであれ、下という立場は、上をたえず権力が付きまとう存在として意識しているからだ。したがって「リード」においても、意図せざる権力による作用は付いて回ることになる。
権力によっては、人間の心は動かない。したがって、それによって人びとから出てくる力は「道具力」の範囲に終わりかねない。
下からの力がなぜ強いか。それは人間から発せられるものであり、平常のそれには、権力による作用がないからである。マネジメントがこの力を活用しない手はない。だがそれには、「リード」のかなりの腕を要する。したがって一般論としての実用性は低い。
そこで、横からの力ということになる。横組織化とは、この横からの力の組織化である。「横から目線」の組織化とでも言おうか。この場合の上からの力は、横の力を相互作用させ合い、それを結合させていくという間接に作用する力である。
私はよく、この横組織化を「芋洗い」に例える。かつて農村で行われていたそれである。芋を洗うとき、大きな桶に芋を入れ、それに水を張り、その中に攪拌棒を突っ込んで掻き混ぜる。
芋どうしが同じ目標に向かってぶつかり合い、互いに互いが磨かれていく。角を取り除いて丸くするのではない。
芋が組織を構成する人びとである。人間を芋に例える無分別には目をつぶってもらいたい。桶が課題である。そこからはみ出ては組織活動は成立しえない。水が状況である。同じ水が生々しく人びとの隅々にまで行き渡り、人びとはそれをたっぷりと共有している。水なくしては芋は折れ、傷付くのみだ。攪拌棒がリーダーである。攪拌しないで放っておいたら、けっきょくは何も起こらないし、やがて芋は腐っていく。
(『人間力』第八章三より抜粋、少し加筆)
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