仕事とは何ともありがたいものだと、つくづくと思う。その中で体験し、教わり、味わえるものは計り知れなく、そのうえお金をもらえるのだから。遊びの中の体験では高が知れている。いわんや修羅場の体験などできようはずがない。大変ならば止めることができるのだから。こんなことを言うと、本当の遊びを知らないんじゃないかと言われそうだが。
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困った状況との闘いは頭のスポーツである。ちょっとやそっとでは思うようにいかない点でも、両者はよく似ている。
「筋トレと同じで、脳は、苦しければ苦しいほど成長するんです。楽をしていたら脳は学習しないんです」*1 と言うのは、脳科学者の茂木健一郎さんである。同じメールでも電子メールよりも手紙のほうが、本を読むにも黙読よりも音読のほうが、野菜の皮を剥くにも皮剥き器よりも包丁のほうが、脳は活性化しているそうだ。「脳細胞は刺激すれば大人でも数を増やすことが分かってきた」*2 と言うのは、基礎医学者の高田明和さんである。
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かつては諸状況が人間に厳しく、人びとは否応なくそれに直面していた。道路一つをとっても凸凹道ばかりであった。その頃には腰痛を病む人は少なかった。
近代化とは、凸凹を取り除いて毎日を快適にしていくという楽化努力である。困ることからの解放努力である。それはそれで今を生きる我われにとっては誠にありがたいことだが、その裏側では、人びとは腰力が衰えて腰痛に苦しみ、「人間力」は萎えて枯ればんでいく。
かつての我われ人間は、「人間力」発揮の条件に恵まれていたということだ。
*1 NHK総合テレビ『クローズアップ現代』(2008.9.1.)
*2 毎日新聞・夕刊(1999.8.5.)
(『人間力』第六章二より抜粋、少し加筆)
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