人に対する「管理」については、私は休むことなくさんざんに扱き下ろしている。それでもまだ言い足りない。人びとをして「人間力」を育むのとは反対の枯れさす方向に強力に作用しているからである。
管理から脱出し、人びとの「人間力」が再生されていく実態は、毎会期の組革研では手にとるように見ることができるし、組革研の「デイリーメール」では企業内でのそれが明らかだ。
ならばすぐにでも管理をやめればよいということになる。ところが、そう易々とはいかないのだ。そこには、6つの邪魔ものが潜んでいるからである。
その1/管理には需給バランスが成立していることだ。
管理するほうにとっては、部下はもちろん、周囲の人間の総てが自分の思うように動いてくれたら、こんなに心地好いことはない、都合のよいことはない。私だって同じだ。それは人性だと思う。したがって管理の供給源は無尽蔵だ。
ではその反対の、管理されるほうにとってはどうか。嫌だけれどもそのほうが楽だということがある。これまた私自身もそうだ。これも人性だと思う。自分で答を発見するよりも教わるほうが、自分でこれは何かと考えるよりも説明してもらうほうが、自ら動くよりも指示を待つほうが、がんばるよりも世話になるほうが、何といっても楽である。そのように動いてその結果が思わしくなければ、言われたとおりやったじゃないですかと言ってかわしていれば、実態としては多くの場合、それで済まされていくのである。したがって管理の需要も無尽蔵だ。
その2/管理するほうもされるほうも、管理する、されるががっちりと体質化され、骨の髄にまで浸み込んでしまっていることである。
管理するほうは、“量産”された人材“品質”を「道具として」使っていくことに終始する。管理されるほうは、作られた人材“品質”で動いていくことに終始する。
頭ではわかったとなっても、ちょっとやそっとではこの発想から脱けられないのだ。「管理中毒」とでも言うべきか。アル中毒患者が酒を止められないのと同じであろう。わかっていてもやめられないのだ。
その3/マネジメント革新と言っても、革新とは程遠く、管理のバリエーションに終わることである。「自主OO活動」などがいい例だ。
その4/もっとも始末が悪いのは、管理を止めただけの、任せるという名の「丸投げ」になってしまいかねないことである。こうなったら最悪だ。
その5/管理の経験豊富な、それによって組織上の地位を手にしてきたより上長が、管理からの脱出を認めたがらないことである。
その6/管理を止められたとして、されるほうはいっ時動きがとれなくなってしまうことである。この現象は、組革研でもよく見ることだ。
(『人間力』第四章六より抜粋、少し加筆)
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