人間とは? などと言いだしたら、とてつもない深みにはまってしまう。私の手にはとても負えない。ところがその有り様、少なくとも動きのレベルでのそれを、明解に示してくれる恰好の比較対象が存在するのである。ロボットがそれだ。
ロボットはどうあるか。
まず夢を持たない。問題を背負うこともなければ、したがって悩むこともない。困っているロボットなど見たことがない。問題意識もなければ、疑問も持たない。やる気もなければ、さぼる気もない。自発的に動くことはなく、他力を加えないと動かない。力を加えてさえいれば、それが作用する範囲内でいつまでも動く。指示・命令どおり完璧に動く。間違いなど起こさない、というよりも起こせない。頭でわかっていることだけをやり、わかっていないことは何一つやらない。状況が変わっても、けっしてそれには対応しない。
これに対して人間、と言っても本来の人間はどうか。
まず、夢を持たずにはいられない。問題を背負って悩みは果てない。困っていること日々のごとしだ。問題意識もあれば、頭の中は疑問だらけだ。やる気もあれば、さぼる気もある。他力によって動くとは限らず、しかし自発的に動く。指示・命令どおり完璧に動くのは難しい。よく間違いを起こす。頭でわかっていないことでも、やらざるをえなくなればやる。状況が変われば、即それに対応する。
即ち、人間とロボットでは正反対の属性を持っているのであって、ロボットの反対を思い浮かべれば、人性やその有り様がわかるというわけだ。
この両者の違いを煎じ詰めて手荒に一言にしてしまえば、心の存在の有りや否やということになる。つまり、人間には己とその気があるのに対して、ロボットにはそれはないのだ。したがって、ロボットはたえず他力を加えられ続けないと―― 教えられ続け、説明され続け、指示され続け、世話され続けないと動かない、いや動けないということである。
これらの属性を総じて再び手荒に別言すれば、「ロボットは頭でわかって動くが、人間は心で感じて動く」ということになる。
(『人間力』第3章1より抜粋)
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