先週のこのコラムはとにかく「変えて見る」のすすめであった。今週はとにかく「やって見る」のすすめである。
「沈思黙考」と言う。「下手の考え休むに似たり」とも言う。後者の発想である。「考」を否定するのではない。考えることはあまりにも大事だ。それを疎かにしては人間に非ずである。ところが自分のそれを顧みると、浅知恵に終始していることが少なくない。
森羅万象、やってみなければ、動いてみなければ、当ってみなければ、本当にはわからないことばかりだ。やってみると、必ず見えてくるものがある。それをめぐる状況がぐっとよく見えてくる。そうして見えてきたものには、切実感が漂っている。ずしりときて深く考えざるをえなくなる。思考がひと回りもふた回りも大きくなる。
そこで私は、とにかく「やって見る」ことを心掛けている。
やってみて考える。そしてまたやってみるのだ。DO −SEE −THINK –DOの仕事サイクルである。
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組革研は創設以来44年、この7月で488回を数えたが、まさに「変えて見る」「やって見る」の歴史であった。既成の固定観念による囚われからの脱出を企図する組革研にとって、それはきわめて有用な発想であった。
おそらく万人が経験しているであろう例で言えば、医療の中にはその典型例がある。体調が悪くて医療機関に行く。重症の疑いがないかぎり、医師は簡便な診察の後、対応(治療)する。そして再診のとき、医師はまず何と言うか。「どうでしたか?」である。「やって見て」いるのだ。
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ついでに記す。対象が人である場合、その眞のニーズを捉えるのはきわめて難しい。その際の一つの方法がこの「やって見る」である。
やってみるわけにいかないことが多々あることは、記すまでもない。
(『人間力』第10章3に加筆)
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