「リーダーの有り様」と「全員経営に向かう自主集団」の企業の実態、事々しく表わせば極め付きとでも言うべきそれが発表される。来る7月3日の組織革新研究会/臨時報告会「奈良生協(市民生活協同組合ならコープ)の店舗経営革新」がそれである。
生協事業は二つに大別される。宅配事業と店舗事業。前者は、つい最近までは小売り業界における独壇場であって、生協事業の屋台骨をなして収益源となっていた。対するに後者は、一般のスーパーマーケット業界との競争渦中にあって、総じて赤字というのが現状となっている。奈良生協の店舗も、創立以来40年間にわたって赤字経営を続けており、その体質には「赤字で当然意識」が骨の髄にまで染み込んでいた。げんに役員の一人は私に、「キャンパスリーダー、店舗は黒字にはならないんですよ」と語っていたほどであった。
無礼を承知のうえで記す。生協事業経営はお世辞にも良とは言えない。生協トップ7人のミーティングのリードを私に代わって務めてくれたS社トップのMさんは、ミーティング途中で私のところに立ち戻り、「あの人たち本当に経営者ですか」と声を落としていた。古くは、「”白紙委任”しますからうちの連中を活性化させて下さい」と、大層な金額を私に提示したトップに驚かされた。全国第3(当時)の従業員10,000人を擁する生協である。生協の連合中央組織である日本生活協同組合連合会の経営指導本部長であったHさんは、「生協には経営者はいないんですよ。みんな運営者なんです」と言い放っていた。
この事態に立ったのが、8年まえに奈良生協の専務理事(一般企業でいえば社長)に就任した小田剛之さんである。運営者とはおよそ対極の経営者である。小田さんの下、赤字で当然体質との闘いを経て創業以来40年の赤字から脱出して14年度、見事に黒字化を実現することとなった。前記「リーダーの有り様」とは、その過程での小田さんのリーダーぶりを指す。この人の変革への求道である。組革研にも「メンバー参加」と「リーダー参加」をしている。
小田さんの求道によって展開されたマネジメントが、私が主唱する「リード」である。売上げ増は販売促進対策によってではない。販促費等は店によっては8、9割減となっている。全ては人の努力、「人間力」のなせる業だ。前記「全員経営に向かう自主集団」とは、この状態を指す。
「自主管理」などと称する小集団活動が一世を風靡した時代があった。だがそれらは、管理のバリエーションにすぎなかった。私の知るかぎりだが。奈良生協の自主集団は本もののそれである。そこにはやらせはゼロだ。トップダウンはある。だがそれらは、経営のロマンと願いだけ、ああしろこうしろの類はいっさいない。その現場を目の当りにした企業人(キリンビール取手工場の人たち)は、帰りの新幹線の中で興奮して話しがとまらなかったそうだ。
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